040920 ランダム
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空の写真

悲しいけれど 覚えておきたい人の話なので 見ずらい色の文字にしました。ご了承ください。


空の写真


「病室の私のベッドから空が見えないってことに気がついたんだ」

病室の窓から見えるのは ショッピングセンターの壁と日産の販売店の看板だけ。

単純に 『「空」持ってきてやる』

富士山の頭がチラっと写った 真っ青な空の写真を撮った。

A4サイズに引き伸ばして 病室の窓のところに置いた。

それから 彼女は毎日のように「空」を眺めていた。

彼女の正体は 「元彼女」

1~2年 付き合ったかな。

当時…自分の家と 彼女のアパートは 直線で100キロも離れていて

当時 仕事を定時で終えて家に帰り 車に乗って 彼女の部屋へ走った。

日付が変わるころ 「帰るね。また明後日ころに来る・・・。」

そういう毎日が ずっと続くと思ってた。

別れを切り出したのは 自分だから 彼女には「申し訳ない」と思ってた。

近くの仲間と遊ぶほうが 楽しくて 仲間の中の女の子を好きになった。

別れたのは もう10年くらい前になるだろうか・・・。

それからは ほとんど会っていない。

彼女が入院したって聞いたのは 今から3年ほど前のこと。

彼女と付き合うキッカケになった女友達と 久しぶりにバッタリ会った。

「理●子、入院してるんだよ」

ショックだった。

当時から 特別な薬を飲んでいた。 (教えてくれなかったけど。)

調べたことがある。ゴミ箱に捨てた薬の入れ物を拾って・・・。

訳の分からない専門書を読んだら 専門用語がイッパイ書いてあった。

唯一 分かったのは「白血球が・・・」って部分だけ。

何か恐ろしい病気にかかっていることは 間違いないと そのとき思っていた。

彼女の病名は「慢性骨髄性白血病」

『「偶然、ま~に会ったよ」って言ったら 「会いたい」って言ってたよ。』

ってメールが女友達から来た。

子供がいることなんかも 全部しゃべったらしい。

「性格とか 好きなものとか そっくりなんじゃないの? 息子。見た~い!!!」

なんて言ってたらしい。

バカちん。。。

それからすぐに 会いに行った。

ひとりで。

痩せていて・・・。 いや やつれていた。

昔話をイッパイした。

そんなとき「空が見えないんだ」なんていうから

「空」の写真を撮って 届けた。

それから 1ヶ月。

彼女は 空へ・・・。

享年34歳 早すぎる人生の幕切れ・・・。


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その後…再放送で初めて目にした

「世界の中心で、愛をさけぶ」を見て 衝撃を受けた。

病室の窓から「空」が見えない亜紀ちゃんのために

朔太郎は「空」の写真をイッパイ撮ってきて

ベッドの上の天井に貼った。

大人になった朔太郎の言葉。

「だから 亜紀は空に手を伸ばしたんだ」
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彼女のことにリンクしてて めちゃめちゃ涙が出た。

息子を紹介してやることが出来なかった。

彼女は「空」に手を伸ばしたんだ。


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